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監督・脚本

ロマン・ポランスキー

1933年、フランス・パリ生まれ。3歳の時にポーランドに移り住むが、第二次世界大戦中にナチのユダヤ人狩りで両親を収容所に送られ、自身も逃亡生活を送る。ウッチ映画大学で学び、短編映画の監督、俳優として活動。62年、水上のヨットを舞台にしたサスペンス映画『水の中のナイフ』で長編監督デビュー。サイコ・スリラー『反撥』(64)でベルリン国際映画祭銀熊賞を受賞し、続く不条理喜劇『袋小路』(66)では同・金熊賞に輝いた。69年に妻をカルト集団によって妻を殺される。その悲劇を乗り越え、74年、ハードボイルド・ミステリー『チャイナタウン』でアカデミー賞®11部門にノミネートされる。79年、文芸大作『テス』でもアカデミー賞®7部門の候補に名を連ねる。さらに、自身の記憶を反映させた実録戦争ドラマ『戦場のピアニスト』(02)で絶賛を博し、カンヌ国際映画祭パルムドール、アカデミー賞®監督賞などを受賞した。それ以降も、『オリバー・ツイスト』(05)、ベルリン国際映画祭銀熊賞受賞作『ゴーストライター』(10)などを発表。また、自身の波瀾万丈の人生を語ったドキュメンタリー『ロマン・ポランスキー 初めての告白』(12/ロラン・ブーズロー監督)も作られている。
【その他の監督作】吸血鬼(67)、ローズマリーの赤ちゃん(68)、マクベス(71)、ポランスキーの欲望の館(72・未)、テナント/恐怖を借りた男(76・未)、ポランスキーのパイレーツ(86・未)、フランティック(88)、赤い航路(92)、死と処女(おとめ)(95)、ナインスゲート(99)、おとなのけんか(11)、毛皮のヴィーナス(13)

人生が映画そのもの ポランスキーの大波乱人生

人生が映画そのもの
  ポランスキーの大波乱人生

映画史上を代表するサスペンス・ジャンルの巨匠と言えば、誰もが“神様”アルフレッド・ヒッチコックを思い浮かべるが、ロマン・ポランスキーという名前を聞いて妖しい胸のざわめきを覚える映画ファンも少なくないだろう。60年代半ばに母国ポーランドからハリウッドに渡り、『ローズマリーの赤ちゃん』で大成功を収めたのち、『チャイナタウン』『テス』でアカデミー賞®作品賞、監督賞の候補に。3度目のノミネート作『戦場のピアニスト』で同・監督賞を初受賞し、カンヌ国際映画祭パルムドールにも輝いた。ベルリン国際映画祭やセザール賞で監督賞を受賞した『ゴーストライター』が、日本で大ヒットを記録したことも忘れがたい。

しかしポランスキーというフィルムメーカーの比類なき魅力は、そうした華々しい受賞歴だけではうかがい知れない。戦時中の少年時代にナチのユダヤ人狩りの標的にされ、アウシュビッツで母親を殺される悲劇を経験。69年には女優である妻シャロン・テートを、ロサンゼルスの自宅でチャールズ・マンソン一味に惨殺された。また、77年には、彼自身が少女への淫行で有罪判決を受けてヨーロッパへ脱出し、今なおアメリカから身柄引き渡しを求められている。

これらの呪われたような人生が、生々しい迫真のサスペンスを生み出す独特の作家性と結びついたポランスキーの作品は、半世紀以上にもわたって観る者を魅了し続けている。

原作

デルフィーヌ・ド・ヴィガン

[書影]デルフィーヌの友情

1966年生まれ。現在、もっとも注目されているフランス女性作家の一人で、作品は各国語に翻訳されている。日本に紹介された作品に、「ノーと私」、フナック文学賞はじめ数々の賞を受賞した「リュシル 闇のかなたに」等がある。本作の原作「デルフィーヌの友情」は、フランスのもっとも権威ある文学賞のひとつであるルノドー賞や、高校生の選ぶゴンクール賞を受賞している。

「デルフィーヌの友情」(水声社刊)